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相談室を開こうと思った理由

 管理者の板倉です。

 最初のブログは、この相談室を開こうと思った理由をつぶやいておこうと思います。

 

 正直、相談室の開業はかなり悩みました。

 きっかけはホームページにあるように、前職で担当していた家族教室を閉めざるを得なくなったこと。

 

 私自身気を付けているのは援助は「終結」を目指すものだということ。もちろんそのゴールの形は色々ですが、怖いのは援助者の為に援助が続いてしまうことです。援助はその人が持っている力を発揮して、よりよい自己実現に向かって行けるためにあるので、援助者が「役に立っている」と自己満足するためにあるのではありません。

 

 家族教室が一度終結に向かう流れになる中で、メンバーから「続けてほしい」「必要だ」という声を何度も頂きました。ありがたいと同時に不安でした。終結に抵抗は必ず起こるものだし、終結してもきっとメンバーは彼らなりの必要性の中で自分の居場所を見つけるものだとも思います。逆にメンバーを自分に依存させてしまっている結果がこの状況なのではないか、自己満足に陥っていないかと不安になりました。

 一方でこのメンバーたちの声は、未だ家族の置かれている状況は厳しいもので、「家族」の為だけの援助の場は少ないのだという現実を突きつけられているようにも感じました。一番長い経験を積ませていただいた依存症専門病院では、ほとんどの相談は家族相談から始まり、家族のグループは週4日もありながらいつも人であふれていました。安心できる相談先が無く、遠方から通い続ける家族も多く居ましたし、私の尊敬する先輩ソーシャルワーカーや先生たちも、家族支援をとても大切にしていました。勤務の都合上なかなか土日にグループができず、仕事を持つ男性がグループにつながりにくいという側面があったので「いつか週末にグループをやれるようになりたいね」と良く話していました。

 私の援助観の原点はいつもこの専門病院での学びが根底にあります。そして、多くを伝え育ててくれた先輩ワーカーの想いをつないでいきたいという気持ちも、援助をする中で多くの学びを下さった利用者の方々への感謝の念も、尽きることなく気持ちの中にあります。

 

 今の家族メンバーへの出会いも私に与えられた一つの機会ではないか。ならば、続けられるものであれば続けてみよう。そう思いました。少なくない人数の方に相談しながら、色々な道を模索し、最後に至った結論がこの相談室の開業でした。相談に乗ってくださった方々に心から感謝いたします。

 

 ここは、私の相談室でありながら、私の相談室ではありません。ここは今まで出会った多くの方と、これから出会う方たちと一緒に育てていく場でありたいと思います。必要であれば続いていくでしょうし、役割を終えれば無くなっていくでしょう。いつも「援助」とその「必要性」に向き合い、それを大切にしたいと思います。

 

 ドラセナと名付けたのは「幸せの木」をここに訪れた人たち一人一人が自分の中で育てていけるようになってほしいという想いが一つ。そして、実は先述の先輩ワーカーから以前いただいた木がこのドラセナで、その人の想いの一つを引き継ぎ育てたいという個人的な想いが込められています。

 

 「幸せの木」がどこまで育つのか、見守っていただければと思います。

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